建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの

東京・六本木の森美術館で日本の建築に関する展覧会が開催されます。

キュレーションは藤森センセイ、国宝・待庵(原寸)や丹下健三「自邸」(1/3)の再現や、Rhizomatiks ライゾマティクス によるインスタレーションなどもあります。展示セクションは以下の9つのテーマです。(公式サイトより引用)

リアルにもヴァーチャルにも面白い空間体験が出来そうです。

1. 可能性としての木造
日本の気候風土が育んだ木の文化は、持続可能なシステムと言えます。伝統建築の壮観を伝える精巧な学術模型や大工の秘伝書、伝統的な木構造に触発された近現代の作品、本展覧会のために制作された最新プロジェクトなどを展示し、その未来を思考します。

2. 超越する美学
もののあはれ、無常、陰翳礼讃など、日本の美意識には超越的な姿勢があります。信じがたいほどの精細さと大胆さが溶け合い、シンプルという言葉すら超えた表現は、日本の建築の中にも受け継がれる遺伝子のひとつです。現在、世界が注目する日本人建築家たちにも通底する超越的な美学に焦点を当てます。

3. 安らかなる屋根
日本建築の遺伝子に屋根があります。覆われた形が自然環境を安定させ、人間のさまざまな行為を包み込み、機能的であることで変わらない安心感を象徴します。気候風土の中で洗練されたこの形が、近現代の建築家にいかなるインスピレーションを与えてきたか、屋根が内包する可能性に迫ります。

4. 建築としての工芸
建築を工芸とみなしたらどのように捉えられるでしょうか。明治期に西洋から建築という概念が持ち込まれる以前の日本には、例えば日光東照宮の社殿の彫刻に顕著にみられるように、匠の技や意匠から継承されてきた「部分」の集積が「全体」即ち建築物をなす、高度に成熟したものつくりがありました。このような工芸性は遺伝子として近現代の建築にも脈々と流れています。

5. 連なる空間
厳密に空間を分け隔てなくても、建築が私たちの暮らしを豊かにすることを、日本の伝統は世界に示しました。厚い壁で内と外を区別したり、部屋の機能を固定化するのではなく、実用性が見た目の美しさにもつながる建築。近現代に発見され、現在も生き続ける開かれた空間の理想像を、それぞれの建築家の個性を引き出しながら展示します。

6. 開かれた折衷
グローバルな世界の中で、自国の建築はどうあるべきなのか。西洋文明の外にありながら、世界で初めてこの問題に本格的に立ち向かったのが日本人でした。答えを求めて世界を一周した建築家・伊東忠太の模型をはじめとした貴重な資料群を通して、近現代における日本建築の冒険を紹介します。

7. 発見された日本
「伝統」は見出されるものだとしたら、国外から発見された日本の姿も、いま、あらためて考察すべき知の資産です。来日したフランク・ロイド・ライトやアントニン・レーモンドから、現在第一線で活躍する作家まで、国外の作家が創造的に捉えた日本像を紹介します。展示資料に感じられる極東の島国への熱いまなざしが、未来の日本像を後押しします。

8. 集まって生きる形
日本には古来、縁が作り出す場が連綿と存在しました。伝統的なコミュニティが息づく集落を精緻に実測したデザイン・サーベイや雪害に苦しむ農村問題、現代における福祉の問題など、建築が社会に向き合った事例を紹介します。

9. 共生する自然
日本人は自然に畏怖の念を抱き、崇高なものとして信仰の対象としてきました。そうした自然観はどのように日本の建築に反映されてきたのでしょうか。寺院から美術館建築まで、建築は環境との境界を曖昧にしながら、人が自然と対峙するための場を提供し、日本の自然観を未来へ伝えています。

建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの

会期
2018.4.25(水)~ 9.17(月) 会期中無休
開館時間
10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
公式サイト:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/japaninarchitecture/index.html